書物の力

３０年近く前に読んだ本の作者と偶然再会した。と言っても直接会ったわけじゃなく著書で。

子供の頃人の心理に興味があり、訳も分からず読み漁った本の中で、内容もよく覚えていないが、なぜかタイトルに記憶があって当時を思い出した。長いこと活躍されている作家だと、いつでも書店で会えるかもしれないが、この方はベストセラー作家というわけではないはず。当然向こうは自分のことなど欠片も知らないのに、久しぶりに知人と会ったようで懐かしくなった。

あれから随分と月日が経ち、その間著者も自分もいろんな事があったはず。片や東大に引っ張られ教鞭をとり、片や只の自転車屋。その中で思わず頬が緩んだのが、この方曰く、ずっと「誰に気兼ねすることなく、好きなことを言える生活をしてきた」という所。さすが俺が選んだ本の作者だけある。というより、自分の方が生き方に影響を受けたのか。好きなことをやってたら賛成や応援の声ばかりではなく、批判や妬みも増えてくる。でも、ひんしゅくを楽しんできたと思わせる生き方に共感して嬉しくなった。

生まれて死ぬまであっという間。順調に行ってもすでに半分、下手すりゃ今日にでも終わるかも知れない命。せっかく親からもらった一生に一度のチャンス。ヤリタイコトやらずに死ねるか。