来たれ若人！

最近小中学生のお客様がちょこちょこ来てくれる。　子供たちを見ていると昔の自分を思い出す。同じ年頃で自転車に乗り出し、とある自転車屋に出入りしていた。

最初に親から買ってもらったドロップハンドルの自転車は鉄の塊のスポルティフもどき。　近所にも自転車好きの子供たちがいて、一緒に走るようになるとロードレーサーが欲しくてたまらなくなった。　毎日自転車雑誌を読みふけり先輩たちから知識を教わりながら、中学生の頃はホイールを組んだりフレーム塗装をやったりしていた。

先輩たちと連れ立って２００キロライドも何度も走った。学校に行く前の早朝自主トレも当たり前でこっそり走りに行くのだが、いつも先輩が走っていてすれ違ったりする。俺が１周走ったら先輩は２周走る。負けじと見つからない場所で秘密練習に励む。当時は何とも思ってなかったが、今思うと相当変わった子供。全ていつも俺の前を走るその先輩が悪い。

ロードを手に入れ行きつけとなった自転車屋には、自分たち中学生が高校生、大学生、社会人に混じっていっちょまえに自転車談義。毎日暗くなるまでそこで知識を身につけ、薄暗いライトを頼りに細い裏道を先輩たちと帰った。楽しい時間だった。

その後日本初のプロロード選手になった先輩の影響は大きく、その後も追いかけ続けた。選手を引退した今も常に目標にしている。貴重な時間を過ごした自転車屋は無くなったけど代わりに俺が子供たちを迎えている。　この場所に店を出したのはここが原点の土地だったから。

子供たちがスポーツバイクに憧れてちょろちょろ出入りしてくれると昔を思い出して嬉しいね。