旅人の話

東京から走ってきたという青年。そりゃ大変だったでしょうと話をすると、今度はアメリカ大陸横断を考えているとのこと。頑張ってくださいと分かれて数か月。

うちの店には珍しいランドナーを持ち込むお客様が来た。見るとアメリカから帰ってきたその青年。５０００キロを走った自転車はタイヤはもちろんチェーンやブレーキシューも何度か交換。リアメカのプーリーは擦り切れ丸くなっている。それでもオーバーホールに連れてきた相棒はぴかぴかに磨かれ掃除の必要がないくらいにきれい。自転車を大事にしている人は良いね。預かる方も気合が入ります。

アメリカ横断の話を聞くと、相当に楽しかったらしくニコニコして話してくれる。コヨーテに追いかけられたとか日本じゃ体験できない話。大変な事も沢山あったと思うが、その楽観的な笑顔が旅を楽しいものにしたんでしょうね。

いいなぁ。うらやましいなぁ。俺も旅に出たい。子供の頃夢見た日本一周もシルクロード横断も死ぬまでに叶えることはできるのか？と考えてみた。

甘えきった今の自分でも勇気と体力と金と時間とフル装備のサポートカーがあれば何とかなるかもしれない。真夏や真冬は走りたくないとか、交通量の多い道は嫌だとか、野宿は嫌だの羽毛布団で寝たいだの、あれやこれや大人の都合が湧いて出る。こんなんじゃだめか？

やっぱりこういうのは若いうちがいいのかも。　でもまだ諦めたわけじゃない。